一般社団法人盛岡青年会議所

理事長所信

2020年度理事長 宮野 祐樹
Miyano Yuki-

HERO
~笑顔溢れる希望に満ちた未来を~

この笑顔を一秒でも長く見ていたい
君たちの笑顔を見る度、いつも心から思う
ぎゅっと握る小さな手を感じる度、君たちを守りたいと心から想う
君たちの成長を感じる度、未来を明るく照らすと心に誓う

 

 身近なひとの生と死は、私の人生に多大な影響を与えている。我が子の誕生はこの世界に何を創り引き渡すべきかを明確にし、仲間の死は命の儚さと限りあるこの命をどう使うべきか教えてくれた。愛するひとを想うことで、心の底から強烈に湧き上がる感情がある。この時代この地に生まれ、今を生きることが宿命であるのならば、運命は自らの意志で切り拓けると信じ、使命に情熱を懸けて今を生きたい。子供たちの生きる未来が笑顔溢れる希望に満ちた世界であるために。

 日本は新たな時代に足を踏み入れている。政府は、環境、社会、経済における世界的課題の解決に向けた持続可能な開発目標 SDGsを推進するとともに、IoTやAIなどの最新テクノロジーを活用した、誰もが快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることのできる人間中心の社会Society5.0を未来の姿として、経済発展と社会的課題の解決との両立を目指している。人類の繁栄には、全てのひとが尊厳と平等のもとに力を発揮できる環境を創り、平和で豊かな生活を享受しながら自然と調和した持続可能な循環型社会を確立することが必要である。課題先進国といわれる日本が、SDGs の達成と Society5.0の実現を目指し、持続可能な経済及び社会を世界に先駆け実証することで、日本の発展のみならず人類の繁栄に貢献できる。

 新たな時代の潮流に未来への希望を見ると同時に、現状を捉えようとすると悲しみや怒りが込み上げる。物事の道理で論ずれば、政治は政局より政策によって民を導き、経済は既得権益より正当な評価によって富を与え、教育は暴力や強制による支配ではなく相互理解を通じた対話にある。技術はひとを傷つけるものではなく社会を豊かにするものであり、情報発信は権力の監視より事実の提供が優先である。主義主張は選挙権を行使した上で訴えられ、自由や多様性はひとへの思いやりの上で尊重される。現代社会が未だ進むべき道を見誤るのは、ひとの弱き心に支配された思考や行動に影響を受けているからではないだろうか。今こそ弱き心の支配に終止符を打ち、新たな時代とともに在るべき自分を追い求め行動していくことが「明るい豊かな社会」の実現へと導いていく。

 私が信じる「明るい豊かな社会」とは、全てのひとが笑顔溢れる希望に満ちた社会である。新たな時代の潮流はもりおかにも一定の豊かさや快適さを与えてくれるだろう。だが、もりおかに生きる一人ひとりの前向きな心無くして「明るい豊かな社会」の実現はない。なぜなら、笑顔や希望は与えられるものではなく、自らの強い意志と行動によって得るものだからだ。ひとは誰しも時として弱き心に負けそうになる。その時こそ前向きな心を呼び起こし、自らが信じる在るべき自分を追い求める。困難や苦境に立たされようとも自らを鼓舞し立ち向かい続ける屈強な心体、ひとの痛みを理解し手を差し伸べる優しさ、率先し周囲のひとを巻き込んでいく活力、変化にも柔軟に対応できる強靭な知性、誘惑に負けず何事にも真摯に取り組む高潔さ。不断に自己を変革することが強い意志を生み、行動へと突き動かしていく。そして、運命を切り拓いていく姿に、ひとはHEROとして憧れを抱き、自らも在るべき自分を求めていく。このまちを創るのは他の誰でもない自分自身である。私たちが変われば未来も変えられる。それは世界をより良く変える力となる。つまり、全てのひとが笑顔溢れる希望に満ちた社会の起点となるのだ。

 雄大にそびえ立つ岩手山、清く穏やかに流れる北上川、豊かな自然とともに生き、活かされているもりおかのひとは、まるで父性と母性という両親の愛に包まれているかのようである。そして盛岡青年会議所は私にとって父性、母性の愛を与え続けてくれた存在である。時に厳しく道筋を示し、時にありのままの私を肯定してくれた。そして生きる力、即ち使命を私に与えてくれた。盛岡青年会議所は私にとって憧れであり、HEROそのものである。盛岡青年会議所は 67年間、先人たちが連綿と紡いできた歴史が愛を育み、その時代に最適な決断を多くのひとへ伝えてきた。今、私たちがやるべきは、新たな時代の潮流を捉え、ひとの共感を呼ぶことである。本年度は、ソーシャルイノベーションを生み出す先導組織として、もりおかに必要なものを見極めながら、新しい発想と行動力で新たな価値を創造し、社会に前向きな変化を起こす。自らの可能性を信じ、未知なる世界へ果敢に挑戦し続けよう。未来を創るのは私たちHEROだ。

【持続可能な地域経済の実現を目指し、豊かな生活が送れるまちもりおかを創る】

 地域経済の発展には、安定した雇用・魅力ある仕事・ひとの流入という3つの基盤を確立することが必要である。新たな時代では経済システムの再構築が始まり、コスト競争から付加価値をつけ差別化を図ることが重要視される。また、企業の持続的な成長を目指すには、環境(Environment)社会(Social)企業統治(Governance)3つの視点が重要である。まずは、もりおかにおける産業の現状を把握するために、システム思考を用い、様々な要素のつながりや相互作用を理解する。そして、地域の特性や資源、新たな時代の潮流を利用したモデルを構築するため、ステークホルダーと協働し、各々の技術や経験を組み合わせ、新しいアイディアを生み出していく。更に、社会的、文化的要素を含めた経済的価値を多くのひとに提言する。様々な産業が価値を高め合う経済システムをデザインし、持続可能な地域経済の実現を目指すことで、豊かな生活が送れるまちもりおかを創る。

【地域、そして世界で活躍できる子供たちの育成に寄与し、子供を育てたいまちもりおかを創る】

 子供は未来の力であり、地域の財産である。だからこそ、大人は子供の教育や未来について真摯に向き合い、地域で協働しながら健全な育成を行う必要がある。人生 100年といわれる時代では、物事の優劣や目先の利益に捉われることなく、生涯を通じて何を実現したいか明確なイメージを持ち、それを実現するために最後までやり抜く行動力を身に付けることが重要である。多様な仕事や暮らし方に触れる機会を通じて、様々な視座からの考え方を知り、地域の現状と課題を認識する。そして、子供たちの自由な発想を喚起することで、自分自身がどのような地域にしていきたいかを描き、想像力を育む。また、新たな時代の思想やテクノロジーは、子供たちの発想を具現化できる可能性に満ちている。豊かな想像力から自己肯定感を高め、アントレプレナーシップを醸成し、自らの意志で行動を起こせる人材へと成長を促す。地域、そして世界で活躍できる子供たちの育成に寄与し、子供を育てたいまちもりおかを創る。

【誰ひとり取り残さない地域コミュニティのモデルを発信し、住み続けたいまちもりおかを創る】

 地域コミュニティは行政と家庭の中間的存在として、子供の教育や防災を含めた生活に対する相互扶助、伝統文化の維持、地域意見の調整など重要な機能を果たし、多くのひとに地域の安全と安心を付与してきた。現在は、生活環境の多様化やテクノロジーの進歩により、コミュニティの在り方に変化が起きている。趣味や特定の関心に特化した地縁に基づかないコミュニティに志向する傾向は強まっており、インターネット上に広がりを見せている。多様な選択肢がある現在において、価値観や生活環境を理解し合いながら住み続けたいまちとは何かを考え、愛着や誇りを深めていく必要がある。世代や地域など、各々の視座におけるコミュニティの課題と需要の分析を行い、地域にとって何が必要であるのか本質を知り、仮説モデルを立て実践することで、各地域への応用性を検証する。誰ひとり取り残さない地域コミュニティのモデルを発信し、住み続けたいまちもりおかを創る。

【ボーダーレスな社会の実現を目指し、世界が憧れるまちもりおかを創る】

 世界規模で物事を考え、地域から行動を起こすことは恒久的世界平和につながる。近年、日本の各地域において、インバウンドや外国人労働者の増加により、グローバル化がますます加速している傾向にある。もりおかでも同様に、人口減少に伴う社会課題の解決方法として外国人労働者の受け入れを行う傾向にあり、社会全体で差別無く平等に活躍できる環境を整えていかなければならない。私たちは、盛岡青年会議所と羅東國際青年商會との長きに亘る民間外交で築いた信頼と友情を基礎に、新たな時代に必要とされる国際感覚とは何かを明確にする。更に、もりおかに住み暮らす外国人移住者との交流から、違いや共通点を知り、グローバルシチズンシップのもと、地域を構成する当事者意識の醸成を図る。また、互いを尊重し生きがいを感じられる社会に必要な要素を抽出することで、地域でどのように受け入れることができるのか実践する。ボーダーレスな社会の実現を目指し、世界が憧れるまちもりおかを創る。

【青年経済人のネットワークを構築し、ひとがいきいきと活躍するまちもりおかを創る】

 数は力を強くする重要な要素である。組織に新たな風を吹き込むことは、多様な価値観をもたらし、柔軟性と創造性を高めると同時に、一人ひとりの活動がまちに拡がりを生み、大きな運動へつながる。青年会議所は、個人開発・地域開発・国際・ビジネスの機会を通じて自己成長を促し、まちの発展に寄与している。まずは会員一人ひとりが機会を提供することの重要性を理解し、組織全体で会員拡大を行い、一人でも多くの仲間とつながりを深めていく。また、多様な価値観を持った個人の集合体であるからこそ、組織の目的達成と個人の自己実現の両立について共通認識を持たなければならない。一人ひとりがまちにインパクトを与える考え方を学ぶと同時に、コンフォートゾーンからの脱却を目指し、好奇心や向上心を高めることで相互成長を促す。青年経済人のネットワークを構築し、ひとがいきいきと活躍するまちもりおかを創る。

【心を掴む価値を発信し、もりおかに生きるひとの憧れとなる組織を創る】

 現在は、いいモノを作れば支持されるという単純な時代ではない。それは、ひとのニーズが多様化し、必要な情報や有益な情報だけを選択できる時代となったからである。私たちの運動は市民意識変革運動である。故に、より多くのひとの心を掴んでこそ価値が生まれる。ひとの共感を呼ぶためには、地域のニーズを見極めた的確な情報発信手段を用いることやアウトプットの質を高めることが重要である。そして、繰り返される共感はブランドロイヤルティを高めることにつながり、より大きな運動へと発展する。更に、ひとは無意識に表と裏、両面の姿を見ていることを忘れてはならない。伝え方やデザイン、媒体などあらゆる可能性に挑戦し、より効果的に発信していくと同時に、個人の規範意識向上に取り組み、盛岡青年会議所のブランドロイヤルティを高め、地域におけるプレゼンスの向上を図る。心を掴む価値を発信し、もりおかに生きるひとの憧れとなる組織を創る。

未来戦略特別委員会
 新たな時代だからこそ、時代の大きな変化や潮流を読み、在るべき姿を志向することが重要である。盛岡青年会議所が数年先においても力強い運動を続けるためにはどう在るべきかを考える必要がある。今後どのような運動を展開していくか、それに伴った会員数や予算はどの程度必要かを議論し、会員拡大の短中期ビジョンと戦略を立案する。また近年では、従来の自前主義に代わり、組織外の知識や技術を積極的に取り込むオープンイノベーションが重要視され始めている。さまざまなステークホルダーとの協働から更に大きな運動へ展開する可能性について議論する。

“The best way to predict the future is to invent it.”
未来を予測する最良の方法は、未来を創ることだ。
―Alan Curtis Kay

人生とは、生と死との狭間にある壮大な物語である。
誰もがその偉大な物語の中を生きる。
新たな時代が、思いがけない展開を生むターニングポイントなのであれば、
自分自身で新たなストーリーに書き換えてみせる。
子供たちに誇れるストーリーに。

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