一般社団法人盛岡青年会議所

理事長所信2022

一般社団法人盛岡青年会議所 2022年度理事長 大和田 祐輔
2022年度理事長 大和田 祐輔
Oowada Yusuke
幸福へ向けて一歩を踏み出そう 〜全てのひとが幸福を実感できる社会へ〜

幸福へ向けて一歩を踏み出そう
〜全てのひとが幸福を実感できる社会へ〜

 

 歳を重ねるにつれ、もりおかの魅力は私の中で今もなお増え続けています。豊かな自然に恵まれ情緒溢れた生活を送り、清らかな川の流れのように穏やかで優しい心を持つひとが住み暮らしているもりおか。少年時代に求めた物質的な豊かさだけでなく、情緒的で文化的な生活そのものがもりおかの魅力であると知るに至りました。今の私があるのは、私を育ててくれたひとがいて、支えてくれたひとがいるおかげです。多くのひとからの無償とも言える愛情を受けて生き、生かされており、感謝の気持ちが溢れてきます。有形無形問わず、もりおかの一つ一つに愛しさと誇りが芽生え、もりおかに住み暮らすひとが世代を超えて幸福な生活を送り続けることを強く願います。私が成すべきことは、自らが起点となって道なき道を切り拓き、このまちのひとに、そして社会全体に幸福をもたらすことです。

 私の信じる「明るい豊かな社会」とは、全てのひとが幸福を実感できる社会です。ひとは誰もが自分なりの幸福を求めています。しかし、自己にとっての幸福が必ずしも他者の幸福と同じではない以上、幸福とは非常に主観的であり定義は難しいものです。もし、ひとが認識する幸福は何かと説明するならば、自己で得るものと他者からもたらされるものの二つの要素に分けることができると言えます。この二つの要素のうち、どちらか一方だけが満たされた状態でも幸福を認識できますが、本当の意味での幸福を求めるならば、どちらも満たされる必要があります。自己で得る幸福を増やすためには、ひとそれぞれが在りたい状態を目指し一歩を踏み出すことができる環境が必要です。他者からもたらされる幸福を増やすためには、思いやりの心と共感で互いの違いを認め合える繋がりが必要です。自己で得る幸福を実現するには、他者の幸福を願い、他者を幸福にする行動を起こすことが重要です。つまり、自己で得る幸福と他者からもたらされる幸福は相関関係にあり、両方を満たされなければ全てのひとが幸福を実感できる社会は実現しません。だからこそ、社会を構成する全てのひとが幸福を実感するためには、社会が抱える課題を解決しなければなりません。ひとは自己で得る幸福の選択肢や得るための方法を拡げ、それを実現するために行動することで、他者、地域そして社会へと幸福の輪を繋げていくことができます。そして、自己の幸福と社会全体の幸福が重なった時、全てのひとが幸福を実感できる社会が実現するのです。

 地球環境は安定的な気候と生物多様性の基に成り立ち、その急激な変動は個人と社会に大きく影響を与えるため、ひとは個人の幸福と同時に社会全体の幸福を志向しなければなりません。いつの時代も、ひとは利便性を追求することによって技術の進歩、経済の発展とともに豊かな日常を実現させてきました。それに伴い、多くの情報を取得し、個人の実現可能な範囲は拡がり、ひとの価値観は多様化しました。反面、自然環境や生態系の破壊、自然災害や公害の深刻化、あらゆる側面での社会格差など多くの問題を生み、それらは相互に複雑に絡み合っています。また、多量な情報が SNS や動画共有サイトに代表されるソーシャルメディアから発信され、いつでも取得できるようになり、社会全体の現状をより身近に感じられるようになった結果、私たちは自分たちの地域課題のことを考えるだけではなく、地球規模で社会全体を把握し、その現実に正面から向き合わなければならない時代となりました。そのような時代に呼応するように、複雑に絡み合った社会問題を 17 個の分野に分け、各々の視座で解決すべき項目である持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals = SDGs)が国連から提示され、世界全体を巻き込む大きなムーブメントに成長しています。日本では、SDGs を根底に据えて、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させた社会 Society5.0 を軸に経済発展と社会課題の解決を両立することで、持続可能な経済及び社会の実現に貢献し、人類の繁栄を目指すという選択を示しています。

 私たちの幸福が犠牲の上で成り立っているならば、それは本当に幸福であると言えるでしょうか。利便性が高い社会を実現することを理由に、企業が過度な利益を求めて、大量に化石燃料を経済活動に投じた結果、温室効果ガスが長期間に亘って継続的に排出され、急激な気候変動や大気汚染を引き起こし、自然環境や生態系、私たちの健康、そして経済に多大な影響を与えています。また、経済性を求めるあまり、適正な価格での取引を望めず生産者が適切な収入を得られない事態が起きています。これら経済面の格差だけでなく、十分な所得を得られず、教育や医療における格差も生じています。私たちは、地球環境へ最大限の配慮をし、一人ひとりの自由と権利の享有を妨げずに、社会全体を発展させていかなければなりません。そして、自己だけではなく他者と地球環境を含む社会全体の幸福を目指し、他者への愛情が循環する行動を取ることによって、ひととの繋がりを掛け合わせながら、前向きな変化を促していく社会が全てのひとが幸福を実感できる社会なのです。だからこそ、私たちは互いの尊厳を尊重し、誰一人取り残されない全てのひとが幸福を実感できる社会を目指し一歩を踏み出しましょう。

 盛岡青年会議所は、69年間の長きに亘り、修練・奉仕・友情の三信条のもと「明るい豊かな社会」を実現すべく、地域課題の解決に取り組み、ひとづくりを通したまちづくりに対して真摯に向き合ってきました。そして今の盛岡青年会議所があるのは、先輩たちがまちを構成する全てのひとの幸福を追求し、どんな困難があろうとも愛情を注ぐように歩みを進めてきたからです。私たち盛岡青年会議所メンバーは明るい豊かな社会の実現を目指すとともに、先輩たちからの想いを受け継ぐだけではなく、次の世代へ引継ぐ責務があります。そのためには世代を超えて循環する愛情とひとの繋がりを掛け合わせた新たな価値と必要な変化を生み出し、一歩を踏み出せる環境を創る必要があるのです。仲間と共に、この運動に愛情を込めて次の世代へ届けましょう。全てのひとが幸福を実感できる社会を創るのは私たちです。

【ハイ・スタンダードな成果を上げられるより良い組織に変革する】

 組織の成果の源泉は一人ひとりの自己実現であり、成果の高い組織は個人の強みと責任感を最大限に発揮させ、組織のビジョンと個人の行動に共通の方向性を持たせています。全てのひとが幸福を実感できる社会を実現する上で、まずは私たち盛岡青年会議所メンバー一人ひとりが青年会議所の活動を通し、ひととの繋がりや自己成長、ひいては自己実現の実感を得られ、幸福感に満たされながら生き生きと活動できる組織へと変化していく必要があります。世界には多様なひとの特性を活かし能力を最大限引き出すことで成果を上げている企業が既に存在しており、その組織の共通点はチームが協力的且つ心理的安全性が高いと言われています。心理的安全性が高い組織は、一人ひとりの個性を受け入れ多様な価値観や能力を認め合うことで、パフォーマンスが高く創造性に富みイノベーションが生まれやすい組織であります。また、ありのままの自分を受け入れてくれる環境を整えることで、安心感や自己肯定感を高め、組織へのエンゲージメント向上へと繋がります。健全な衝突(ヘルシー・コンフリクト)を推進し過去のパラダイムから脱却することで、挑戦や率直なディスカッションを促進させ、一人ひとりが自己実現に向け活動しながら、組織としてハイ・スタンダードな成果を上げられるより良い組織に変革します。

【思いやりの心と共感で互いの違いを認め合える愛情溢れる子供たちを育成する】

 子供たちを取り巻く周囲の行動や活動、さらには生活環境の変化は子供たちの成長に大きな影響を与えますが、最も前向きな成長を促すことができるのは様々な成長の機会に出会い触れることです。そのことにより、子供たちは様々な視点から物事を捉えます。また、五感を研ぎ澄ませながら興味関心のあることに注力して、出会った課題に取り組み続け自己を成長させる力を高めます。そして課題を満足いくまでやり遂げ、達成感を得ることで新たな課題に向け一歩を踏み出します。この繰り返しにより生涯に亘り学び続ける姿勢を身につけるのです。子供たちは次世代を担う存在であり、私たちが目指す明るい豊かな社会の形成者は今の子供たちです。子供たちの成長とともに彼らを取り巻く環境は想像もできない変化をしていきますが、どのような変化が起きようとも彼らは、その先の社会を創造していかなくてはなりません。そのためには、自ら考え選択し行動しながら幸福を感じられる力と失敗や不安を乗り越える力を身につける必要があります。私たちは子供たちに内在している自己の力で成長していく自己教育力、困難や逆境に陥ってもしなやかに回復し乗り越える強靭性(レジリエンス)を育むとともに、思いやりの心と共感で互いの違いを認め合える愛情溢れる子供たちを育成します。

【社会全体の幸福を目指し、愛情が循環するもりおかを創造する】

 現代社会は非常に豊かになりましたが、全てのひとにとって幸福な社会と言えるでしょうか。産業革命以降、長きに亘る現在世代の欲求のみを満たすための開発によって、急激な気候変動と社会的格差を生んでいます。これからの社会では、将来世代の権利も尊重すべく地球環境へ最大限配慮するとともに一人ひとりの自由と権利を守り、経済中心から人間中心の社会を目指さなければなりません。人間中心の社会では、全てのひとが身体的・精神的・社会的に良好な状態にあること(ウェルビーイング)の重要性が提唱されています。ウェルビーイングであるためには、繋がりを持つこと、身体的運動を行うこと、スキルを得ようと学ぶこと、他の者に与えること、そして今この瞬間に注目すること(マインドフルネス)が大切だと言われています。日本ではSociety5.0の社会実装が具現化してきていますが、全てのひとにとって幸福な生活を具体的に想像し、ウェルビーイングの実現を根底に据えた技術革新を伴う最適なまちづくりが必要です。互いの違いを認め合える思いやりの心と共感で繋がり、他者への愛情が循環する行動を選択できるひとがまちに溢れることで、全てのひとが幸福を実感できる社会となるのです。そのためのまちづくりには何が必要かを研究し、地域住民・行政・企業・団体と協働を通して愛情が循環するもりおかを創造します。

【共に高め合う地域社会の創造と国際感覚に優れた人材を育成する】

 国際的な相互依存の深まりの中で、自国や相手国の時代背景や経済状況は互いに大きな影響を与えます。日本は原材料やエネルギーなど、資源の多くを海外からの供給に依存しており、先進国の中でもその依存度が高いという特徴を持つ国です。そのような中で日本社会はモノに溢れ、容易に様々なモノを入手することが可能となりました。しかし、それらの多くは、海外から調達・製造されたものであり、この過程にある現地労働者の不当待遇や児童労働等に起因した人権問題が起きています。また、経済の発展と効率を求めたが故に地球環境へ悪影響を及ぼしています。これらの問題を解消するためには、私たちの経済活動が、ひとや地域、社会にどのような影響を及ぼしているのかを理解しなければなりません。国際情勢を基にその国やひとを理解し、一人ひとりの自由と権利が保たれる環境と、地球環境を含む社会全体の幸福を考えた行動が求められています。また、盛岡青年会議所と羅東國際青年商會は信頼と友情を基にした民間外交から両地域間の理解を深め、共に明るい豊かな社会の実現を目指してきました。私たちは社会全体の幸福のため、相互の繋がりを掛け合わせて地域の課題解決に向けて取り組みます。そして、個人と地域に前向きな変化を促すことで、共に高め合う地域社会の創造と国際感覚に優れた人材を育成します。

【徹底的なマーケティングを基礎とした広報戦略により、市民意識変革運動の価値を高める】

 多くのひとからの共感を生み出すことは、市民意識変革運動の原動力になります。もりおかのひとにとって幸福とはどんなことか、どのような理想のまちを想い描いているのか、それらの実現にどれだけ近づいているかを私たちが知ることは、共感を生み出すことに不可欠な情報です。もりおかのひとが意識を変革し幸福を実感できる社会を実現するためには、どのような価値を提供すれば良いかを探り、実施する事業でその価値を引き出し、届け、そこから共感を生み出すために必要なマーケティングと戦略的広報を実践しなければいけません。そのために、これまで試行錯誤を繰り返し実践してきた広報手法に加えて、定量的な根拠や事実に基づいて考えた(ファクトフルネス)事業を構築するためのリサーチと分析、地域性と潮流の把握・共有、事業参加者・ボランティアの効果的な募集方法の提案を行います。そして、全てのひとが幸せを実感できる社会の実現のために盛岡青年会議所が果たすべき役割を定義し、誰に、どのような価値を、どのようにして提供するかを徹底的に突き詰めます。そして、企業・行政などあらゆるカウンターパートとのパートナーシップを模索し、リサーチと戦略的な広報部分を担います。さらに、各委員会やプロジェクトチームと連携することで、市民意識変革運動の価値を高めます。

わんぱく相撲プロジェクトチーム
 私たちはわんぱく相撲を相撲の試合として勝敗を決めるだけでなく、子供たちが目標を実現するための強い心を育むことや、対戦相手や自分を支えてくれる家族や友人への感謝の心や思いやりの心を養うなど、社会形成者として必要な心情、意欲、態度を身につける機会として開催してきました。また、男女の区別なく子供たちの向上心の育成に取り組み、SDGsを推進する団体としてジェンダー平等の実現に繋げています。本年は長きに亘りわんぱく相撲を通して培った知識と経験を結集し、盛岡青年会議所創立70周年記念事業として、第34回わんぱく相撲盛岡場所を開催します。第34回わんぱく相撲盛岡場所ではこれまでよりもより多くの参加者を募るとともに、力士との相撲体験から礼節を学び、子供たちの心の成長に寄与し、大人たちと子供たちが未来に向かいより強く一歩を踏み出せる機会を提供します。

盛岡さんさ踊りプロジェクトチーム
 盛岡青年会議所は長きに亘り、主催団体の一つとして盛岡さんさ踊りに参画し「来て、観て、魅せられ、加わるさんさ」のテーマの基、多くのひとへ地域の魅力を体験できる機会を提供し、その価値を高めることに寄与してきました。盛岡青年会議所はこれまで、国籍、性別、年齢、宗教の違いや障がいの有無に関わらず様々な方々とパレードに参加し、より多様性を持った盛岡さんさ踊りを目指してきました。私たちはこれまでの経験を通して得た知識と経験を基に盛岡青年会議所創立70周年記念事業として、さらに発展させ多様性を持った盛岡さんさ踊りを実施します。全てのひとが参加できる盛岡さんさ踊りの魅力を発信し、全てのひとが幸福を実感できる機会へと繋げます。

創立70周年実行委員会
 盛岡青年会議所は長きに亘り歩みを止めることなく、明るい豊かな社会を目指し運動を展開することにより、関係団体との信頼を築いてきました。盛岡青年会議所創立70周年を迎える2022年、先輩たちが繋いできたひとづくりを通したまちづくりの志を学び、これまで盛岡青年会議所の歴史を繋いできた方々へ感謝を伝えるとともに、未来へ向かい新たな一歩を踏み出します。また、盛岡青年会議所が創立65周年に策定した盛岡JC組織ビジョンは5年の節目を迎えます。この5年間で組織ビジョンが組織にどのような変革をもたらしたのかを検証し、組織強化に努め、全てのひとが幸福を実感できる社会へと繋げます。

組織拡大特別委員会
 青年会議所は新陳代謝を繰り返し変化し続けています。盛岡青年会議所がこの先も力強い運動を展開するとともに、より良い組織に変化し続けるためには、新たな仲間の力が必要です。特別委員会は委員会の枠を超えこれからの盛岡青年会議所を議論し、組織の発展を担ってきました。本年は、これまで特別委員会で協議を重ねてきたあるべき姿を基に、盛岡青年会議所の未来を担う新たな仲間の輪を拡げます。そして、仲間と共にひとの繋がりを掛け合わせた新たな価値と必要な変化を生み出し、まちにより必要とされる盛岡青年会議所を目指します。

Share / Subscribe
Facebook Likes

盛岡青年会議所について

PHP Code Snippets Powered By : XYZScripts.com