一視同仁
~笑顔が満ち溢れるもりおか~
凍てつく冷気に包まれた幻想的で荘厳な銀世界、
雪嶺がひとの営みを眺める
雪解け水が生命の息吹を運ぶ、
桜や新緑の色に染まる様は春を告げる魔法のよう
青い穂が風になびき、
蝉の声に呼応するように聞こえる群衆の声と太鼓の音色
錦秋の景色に金色の大地、澄み渡る空はどこまでも高く
極彩色で風光明媚なまち、もりおか
このまちに生きるひとは厳しくも優しかった
7年前、もりおかに移り住んだ私は新しいことに挑戦する希望をもつ一方で、何か落ち着かない心持ちであった。故郷にいる両親や旧友、前職で苦楽を共にした同僚と物理的なつながりが薄くなる不安から、これから先の人生で親しくなれる友人は果たしてできるのだろうかと将来に漠然とした空虚感をもっていたのだ。しかし、そんな不安はすぐに解消されたのだった。転居して間もなく盛岡青年会議所に入会した私は、多くの仲間と出会い喜びと感動を分かち合った。青年会議所での活動を通じてもりおかの歴史や文化への好奇心をもち、もりおかで異彩を放つひととの出会いによって何事にも挑戦していこうとする向上心が大きくなっていった。もりおかに生きるひとは、私がこのまちで生きていくことと青年会議所の会員として活動することに、それぞれの場面で時に厳しく、時に優しく支え続けてくれた。私はひととの出会いやつながりによって心が豊かになっていくことを実感した。他者を尊重する温かい心と思いやりのある行動に感謝の念を抱き、ひとの縁を感じることでもりおかのことを大好きになっていった。
私が大好きになったもりおかは、住み暮らす市民一人ひとりによって形成されている。まちの歴史はひとの縁によって過去から現在、そして未来へ連綿となっている。心を豊かにしてくれたもりおかへの感謝の気持ちから、まちをより良くして次代へ引き継いでいく意志が生まれ、使命感となり、今の私の行動へとつながっている。まちから、ひとからいただいてきたものを、もりおかに生きるひとが前向きな気持ちになるよう役立てたい。そして、私はもりおかに心から恩返しをしたい。
広大な地球において、環境や気候は土地によって異なり、その土地で生きていく人々の信じるものや秩序もまた異なる。ひとは他者との違いを受け入れ平和的に交流をすることで豊かさを享受してきた。そして、誰かのために行動を起こすことができる。しかし、時に心の貧しさから他者を顧みない行動をも起こす。それは物質的な貧しさ故か、はたまた社会から孤立し心のつながりを感じられないからなのか。自分自身の正当性ばかり振りかざすような行き過ぎる主張は他者を傷つけ、争いを生んでいる。その争いによってひとは哀しみ、怒り、その感情からまた誰かを傷つける負の連鎖が生まれているのだ。そして、負の連鎖に巻き込まれ社会から孤立しているひとが存在する。私たちはこれまでの歴史の中で、身近にいるひとに起きた不幸な出来事や遠く知らない土地に起きた有事や災害に、当事者の幸せを願い、助けの手を差し伸べることができた。世界各国で起きている紛争やいじめ、差別など事の大小は関係ない。世界に生きる一人ひとりが一視同仁の心をもち、他者を思いやる行動によって負の連鎖を断ち切ることができれば、自分にとって身近な社会を、ひいては国際社会を安寧に導くことができる。
私が信じる「明るい豊かな社会」とは、ひとの縁がもたらす思いやりに笑顔が満ち溢れる社会である。現在、もりおかでは人口減少から経済や福祉に停滞感を覚える人が多く、ひとの心には自分の将来やまちの未来に対する漠然とした不安がまん延している。この不安を取り除き、豊かさを実感するためには、もりおかの政治や経済、そして文化を活性化させる必要がある。社会は自分自身と他者がいて、つながりをもつことで成り立つ。ひとは他者からの思いやりのある行動によって心を豊かにする。そして、豊かな心によって他者への感謝と社会に対する希望を見いだし、「明るい豊かな社会」に向けての前向きな行動を発現させる。その行動に他の誰かが感銘を受け、意志を受け継いでいく。まちをより良くしていこうとする意志は過去から連綿と続く歴史の如く、ひとのつながりと思いやりのある行動によってまた誰かの心に紡がれる。市民一人ひとりが物質的な豊かさのみだけではなく、心の豊かさも実感することで、まちが笑顔で満ち溢れる。未来を明るいものにするためには、市民一人ひとりが自分自身の考えを大切にしつつまち全体の事も考え、社会参画することが必要となるのだ。だからこそ、私たちがひとの縁を大切にし、もりおかの未来をより良く変化させようと行動し続けなければならない。
盛岡青年会議所は今年で73年の歴史を紡ぐ。現在の私たちは、過去から受け継がれてきた「明るい豊かな社会」の実現に向けて挑戦し続けた先輩方の意志、そのものなのだ。その意志に私たちの想いを乗せ、より良い変化を加えて次代へと紡いでいく責務がある。私たちは盛岡青年会議所の会員であり、もりおかに深いつながりをもつ個人である。だからこそ、自分自身の手でもりおかの未来を創っていくのだ、ひと事などではない。まだ見ぬ景色や世界に足を一歩踏み出して、能動的に挑戦し続ける勇気を奮い立たせよう。あなたが入会を決めた覚悟も勇気のある一歩なのだから、尻込みなんかしなくたって良い、きっと大丈夫。そして隣には常に仲間がいる。志を同じくする仲間はあなたにとっての助けとなってくれる。だからこそ挑戦し続けることができ、あなたの挑戦は発展と成長の機会となる。家族や仲間を大切に思いながら、覚悟をもち自己を変革し続けよう。過去を知り、そして今、もりおかの未来を変えられるのは私たちだ。
会員拡大は、多様な価値観をもつひととの関わりを増やし他者の意思を尊重する契機、つまり心を豊かにする足掛かりとなる。青年会議所は4つの機会を通じて会員に自己成長を促しまちの発展に寄与してきた。改めて会員一人ひとりが、機会に対する重要性と挑戦する意義を理解し、仲間を増やす意欲を高め、一丸となって会員拡大を推進する。多様な価値観や経験、スキルをもつ多くの仲間が助け合い、切磋琢磨しながら成長することで、より力強い市民意識変革運動を展開し続けられるのだ。そして、会員一人ひとりが青年会議所の理念へ共感することは、組織に対するエンゲージメントと活動への内発的動機付けを高め、組織力の強化につながる。また、モチベーションやパフォーマンスの向上に良い影響をもたらす。自分自身の役割と責務への理解も深まることから、リーダーシップの開発にも寄与する。私たちはまちにより良い影響を与える人材を増やし、これからも市民から必要とされる盛岡青年会議所へと組織を発展させ続ける。会員拡大と理念浸透によって組織力を高め、永続的に発展し続ける組織となるのだ。
まちが有する地域資源を組み合わせながら最大限活かすことは、地域経済を活性化させるだけでなく文化振興の役割も果たし、まちを持続的に発展させる。同時に、住み暮らす人々にまちへの愛着や誇りをもたらし、まちづくりへ前向きな気持ちにさせる。まちづくりへの前向きな気持ちは、住み暮らすまちの在りたい姿を見いだすからこそ発現し、市民の地域活動に対する参加意欲を高める。また、地域活動へ参加することは市民にまちづくりへの当事者意識を生み、市民同士のコミュニケーションが促進され、他者と協働の輪が広がる。だからこそ、私たちは市民へ盛岡青年会議所の活動内容を周知し、展開する運動への共感を呼び、住み暮らすまちの明るい未来の理想像を市民と共に思い描くのだ。そして、私たちはもりおかに住み暮らす青年経済人としてシビックプライドをもち、多くの市民と協働できる関係性を築き結束力を高めていく。多くの市民とつながったコミュニティのちからを結集し、地域資源を利活用したまちの持続的な開発に挑む。市民に当事者意識を生む情報を発信し、まちの持続的な開発に向けて協働するのだ。
子供は自分自身の行動や他者との関りによって自己有用感と自己肯定感を高めることができる。子供の価値観は家族や社会とのつながり、教育や文化、そして経験に影響を受けながら形成されるからだ。自己有用感を高めることで他者を思いやる気持ちや感謝の気持ちが芽生え、また自己肯定感を高めることで自分自身にとって新しいことや困難なことに対して失敗を恐れず挑戦する気持ちがもてる。つまり、高い人間性を身に付けることができるのだ。次代を担う子供はまちの未来にとって財産である。だからこそ、社会全体で子供が心身ともに健やかに成長できるよう支えていかなければならない。私たちは子供を取り巻く社会の一員として、周囲の大人と共に一丸となって子供の豊かな心を育み、子供が描く夢の実現に向けて挑戦する機会を創出する。また、私たちは多くの市民に次世代育成の意義を伝え、青年会議所の起こす運動に共感し協働するステークホルダーを増やしていく。明るい未来の創造のために、子供も大人も挑戦できる環境を市民と共に整えていくのだ。社会全体で子供の豊かな心の育成に寄与し、明るい未来を創造するのだ。
国際社会は世界中の国々や地域に住み暮らす一人ひとりによって形成されている。そして、もりおかに生きる人々が国際社会を構成する一員であることは普遍的な事実である。現在、多くの国や地域、企業や団体が国際的な問題を包括的に解決するために、あらゆる側面から支援を行っている。加えて、市民が国際的な問題の多様さと複雑さを認識するとともに個人でも問題の解決に向けてできることを模索し、思いやりの心をもった行動を起こすことで恒久的世界平和の実現へ近づくことができる。だからこそ、私たちは盛岡青年会議所の会員として、率先して恒久的世界平和の実現を目指した行動を起こしていかなければならない。羅東國際青年商會との長きに亘る民間外交で築いた友情と信頼関係は、国際感覚を身に付け研ぎ澄ます一助となっている。混沌とする現代において、私たちは今一度、国際社会における民間外交の意義と重要性を理解する必要がある。その上で、政府間交流だけでは成し得ない、国や人種を超越した友情を育み続けていく。民間外交の経験によって得た知見を基に、国際社会を生きる一員として、恒久的世界平和を実現するのだ。
≪未来構想特別委員会≫
盛岡青年会議所は過去から現在に至るまで、より良く運動を展開するべく組織を変革してきた。私たちは諸先輩方の想いを受け継ぎ、継続事業への取り組み方や将来に亘って持続可能な組織運営の方法などを検討し、組織をより良く発展させていく必要がある。本年度は、特別会計に関する基準や規程、運用方法を中心に議論し、数年先においても力強く運動を展開していくため盛岡青年会議所がどう在るべきかを考える。
<出向者支援>
青年会議所は、国際組織として「個人の修練」「社会への奉仕」「世界との友情」の三信条のもと、青年が社会により良い変化をもたらすためのリーダーシップの開発と成長の機会提供をしている。盛岡青年会議所は毎年多くの出向者を輩出している。出向者が出向先の会議体で得た学びと知見を盛岡青年会議所にフィードバックすることは、会員の資質向上と組織の活性化につながることから、盛岡青年会議所にとって貴重な財産となる。出向者の活動を全会員が認知できるよう発信し、盛岡青年会議所の運動の価値を更に高める。