一般社団法人盛岡青年会議所

理事長所信

2021年度理事長 田屋舘 真留久
Tayadate Maruku
いつからだろう。
雫石以外から眺める岩手山を好きになれたのは。
いつからだろう。
もりおかの前向きな変化を自分のことのように嬉しく思えるようになったのは。

 青年会議所は、世の中に対する当事者意識を私にもたらし、行動する意義と物事を多角的に捉える大切さ を教えてくれました。そして、眺める場所によって変化する岩手山の様々な魅力を感じ取ることが出来るようになり、それまで以上に岩手山を好きになることができました。また、もりおかに生じる前向きな変化は生きる使命を私に与え、ひとの笑顔は私の活力になります。

私は青年会議所に入会し様々な活動に参画する中で、ひとの価値観に触れ、自分の価値観を知り、変化した自分の価値観を享受することによって力を高め、共に行動し友情を育んできた結果、ひとへの感謝を伝えられるようになりました。そして、私を成長させてくれたひととの出会いと経験は、私にとってかけがえのない大きな財産になりました。私はこれまで青年会議所の歴史を紡いできた先人たちのご尽力のおかげで現在があることに気づき、先人たちへ感謝の気持ちが溢れてきます。私はひとの笑顔が好きです。ひとが成長したときに溢れてくる笑顔を見ると幸せな気持ちになります。だからこそ、私はもりおかへの感謝を胸にすべてのひとに発展・成長の機会を提供し、たくさんの笑顔を生み出していきます。そして、青年会議所の使命である発展・成長の機会を提供することと、私の生きる使命が重なり、先人たちが築いてきたもりおかに、私たちの世代がより良い変化を加え、次世代につないでいかなければならないと決意を強めるのです。

日本は時代の転換期を迎えています。新型コロナウイルス感染症の拡大は環境・社会・経済それぞれの観点において私たちの日常生活に多大な影響を及ぼしています。社会経済活動は非接触であることを求められ既存の形式から変化し、オンライン化が促進されました。また、自粛要請によって温室効果ガス排出量の低下や場所の概念に制限されず時間を 有効活用できるといった側面が生まれました。しかしながら、サプライチェーンの寸断と、需要と供給のバランスの崩壊が相まって経済における影響は多方面にわたり問題を深 刻化させています。人々の見知らぬものと対峙する際の恐怖心は、人の行動へ悪影響を及ぼしており、新型コロナウイルス感染者の特定、さらには個人への誹謗中傷やSNSへの晒しと呼ばれる行為を引き起こしています。これは東日本大震災によって住み暮らしていた場所からの移動を余儀なくされた人が受けたものと同種の偏見や差別が未だに存在していることを示しています。また、日本の子供の約7人に1人は貧困状態にあり、特にひとり親世帯の貧困率は高い状態にあります。新型コロナウイルス感染症によって休職や退職した世帯収入の減少は、短期的に貧困を深刻化させています。貧困が長期化すると、発達段階における様々な機会を得られないことにより子供の可能性が阻害され、自己肯定感が低下し、人や社会とのつながりが分断されてしまいます。結果として、世代間での貧困の固定化を生み出してしまい、貧困状態にある子供の数は更に増える可能性があります。このように日本には偏見や差別、貧困の問題が存在し、もりおかも例外ではありません。

青年会議所がこれまで推進してきた持続可能な開発目標SDGs(SustainableDevelopment Goals)は、エンパワーメント、インクルージョン、レジリエンス、そしてパートナーシップを実現させることにより、環境・社会・経済の三側面の課題を統合的に解決することを目指しています。今起きている問題はSDGsの誰ひとり取り残さないという理念に即した行動によって解決できます。一人ひとりの力を引出し高め(エンパワーメント)、ひとを別け隔てることなく、すべてのひとを思いやりの心で包み(インクルージョン)、変化にしなやか且つ強靭に適応し復元する力(レジリエンス)。未来が予測不能な時代で社会により良い変化をもたらすためには、この三要素が重要であり、さらにこれらの要素を社会に浸透させSDGsの達成を加速させるパートナーシップが不可欠です。また、Society5.0は、IoTやAIなどの先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れることによって、環境・社会・経済の様々な課題が解決される社会を目指しています。ゆえにSociety5.0とSDGsの達成は親和性が高く、どちらも個人の尊厳や公平さが尊重された持続可能な未来をつくるとともに、ひとがもっている強さと優しさによって環境・社会・経済を新型コロナウイルス感染症の拡大する以前よりもより良く発展・成長させる可能性に満ちています。

私の思い描く「明るい豊かな社会」とは、誰もが理想の未来を描き、挑戦できる社会です。すべてのひとがSDGsの達成に向けて個人・団体における目標を定め、予測不能な事象が起きようと前向きに捉え、挑戦する人に対して周りのひとが思いやりの心をもって応援できる社会です。未来に起こりうる問題に対しては誰も正解をもち合わせていません。だからこそ、経験から未来を予測するのではなく、理想の未来を自らが定義し、理想から逆算して今必要な行動を起こすという思考方法が必要なのです。私たちは目前にある問題を解決するための課題を可視化し、エンパワーメント、インクルージョン、レジリエンス、そしてパートナーシップによって、社会により大きなインパクトを生み出します。

私たちは年齢、性別、国籍、宗教にかかわらず、すべてのひとが活躍できる公平な機会を提供し前向きな変化を促します。誰もが理想の未来を描き、挑戦できる社会を実現させ個々人が目前の課題を解決することができれば、SDGsの達成された持続可能な社会が実現します。私たちに解決できない問題はありません。多くのひとを巻き込むべくビジョンを掲げ、どのような問題が起きようと臆することなく果敢に挑戦し、運動を展開しましょう。もりおかに住み暮らすひとと共に、その一歩を力強く踏み出そう。

【もりおかに住み暮らすすべてのひとと共に住み続けたいまちを実現する】

AIやビッグデータを活用し、社会のあり方そのものを変えていく都市「スーパーシティ」は、生活全般において住民の目線による「ありたき未来」の先行実現に向けて暮らしと社会に実装する「まるごと未来都市」であり、地域が抱える環境・社会・経済の課題解決を目指しています。私たちは、新型コロナウイルス感染症による生活環境の変化がひとの価値観にどのような変容を生じさせたのかを調査・分析し、誰もが住みやすく、自分の可能性を拡げていけるまち、そんな理想像をステークホルダーと協働し、それぞれの技術やアイディアを組み合わせ、各地域に住み暮らす子供たちと共に描きます。そして描いた住み続けたい理想のまちについて、各地域に即したモデルを考え、自治体に提言します。また、住み続けたいまちの資源として地域の活力を生み出す祭りは、これからも守り続けていかなければなりません。これまでに培ったひとのつながりを活かしながら市民総参加型の心躍る盛岡さんさ踊りを実現し、地域に根差した魅力ある祭りとして新たな1ページを刻み、もりおかに活気を取り戻します。そして、ひととの関わり合いの中から住み続けたいまちとは何かを考え、もりおかに新たな価値を創造します。

【未来のあるべき姿を描き、すべての子供たちが挑戦できる社会を創造する】

子供の可能性は無限であり、未来の担い手である子供たちは地域、そして日本の宝です。だからこそ、大人は子供の教育に真摯に向き合い、子供の行動を支える心の育成に寄与しなければなりません。ひとの価値観は、身近な人との関わり合いの中で形成されます。私たちは子供たちの生活環境の変化を理解し、一人ひとりの子供の興味・関心を的確に把握します。子供たちが価値観の共通点や相違点を他者との比較から見つめなおして考える機会を提供し、子供たちの誰に対しても公平な思いやりの心を育みます。また、子供たちが住み暮らしているまちと自身の理想像を描くことによって、想像力と意志の強さが育まれます。そして、子供たちの発想に先端技術や新たな思考方法を取り入れることは理想の未来を具現化できる可能性に満ちています。子供たちの発想は、とても柔軟で大人の先入観や固定観念を取り払ってくれます。子供たちが自身の住み暮らすまちの課題を見つけ自分で考え行動し、その学びを地域に発信することによって豊かな人間性を育むとともに子供から大人へ学びの波及効果を生み出します。お互いを尊重する認め合いの中で子供たちの自己肯定感を高め、何事にも挑戦できる前向きな心の育成に寄与します。

【民間外交の価値を再認識し 、すべてのひとと共にSDGsの達成に向けて行動する】

受け入れられない価値観の違いや不当な差別などの心の分断が要因となって世界では紛争が断続的に起きており、その地域には食糧、教育、ジェンダーなどにかかわる様々な問題が複雑化しています。一方、日本国内では紛争とまではいかないものの、新型コロナウイルス感染症によって物資の奪い合いが起きており、心の分断が顕在化しています。そして、気候変動は地球に住み暮らすすべてのひとの問題として逼迫しており、環境保全に資する行動が世界全体に求められています。羅東國際青年商會との民間外交は、信頼と友情のもと両地域間の相互理解を深めることができ、恒久的世界平和の実現へ導く貴重且つ身近な機会です。国際交流の機会は、お互いの地域を客観的に捉え、まちの魅力や課題を再認識でき、両地域のまちに対する誇りを得ることができます。誰もが世の中の事象に対して当事者意識をもち、地球規模で物事を考え、地域の特性を取り入れて活動することは恒久的世界平和につながります。私たちは両地域における地域課題の解決方法を探求することによって、SDGsの取り組みの共通点と相違点からお互いの国と地域の特性について理解し、国際感覚をもった人材の育成に寄与します。そして、もりおかに住み暮らす外国人と共にSDGsの達成に向けて行動し、お互いを尊重できる思いやりの心をもりおかに拡げていきます。

【青年会議所の価値を再認識し、アクティブシチズンを増やす】

青年会議所はひとづくりを通したまちづくりに真摯に向き合っています。私たちは地域のニーズを分析し、SDGsの達成に向けた課題解決方法を確立します。そして行動を起こしながらも検証を行うサイクルを協力団体と共に回し続け、継続的なインパクトを生み出します。青年会議所の運動を通して世の中にあるすべての分野のステークホルダー同士を結びつけることで社会的信望をさらに高めることができます。その起点となるのは、すべての会員が現状を前向きに捉える強さと他者を思いやる優しい心をもつことです。年齢や性別、様々なバックグラウンドをもつひとの新しい考えや価値観を取り入れることによって、私たち自身の成長につながります。私たち自身の成長は青年会議所の組織を発展させるとともにまちの成長につながります。だからこそ、多様なひとから自分自身について理解する機会を提供し会員相互の成長に寄与する必要があります。すべての会員に様々な機会を提供し、その体験を通してまちに対しての当事者意識の醸成と前向きな変化を促します。そして、すべての会員が自らの目標を定め、その目標達成のために努力し、共感を得ることによって他者に前向きな変化をもたらします。SDGsの達成をビジョンに掲げ、多くのひとを巻き込む共感力でアクティブシチズンと運動の輪を拡げていきます。

【広報メディア戦略に挑戦し、市民意識変革運動の価値を拡げる 】

盛岡青年会議所の展開する市民意識変革運動を拡げるためには、組織のブランディングと発信力の更なる強化が必要不可欠です。私たちが展開する事業の精度を高めることは、組織のブランディング向上と会員の組織に対する誇りを得ることにつながり、組織に対する誇りは一人ひとりの発信力を高めます。また事業構築において、戦略的に広報を実践するためには対象者のイメージがより鮮明であるほうが高い効果を生み出します。各委員会へ何のために誰に対して行うのかを明確にする思考方法を提案します。また、SNSが一般化し、多様なコミュニケーションツールが活用されている現在、たった一人の発信した情報が多くの共感を呼び、結果的に社会を変えることが可能になっています。しかしながら、世の中の情報すべてが正しいとは限りません。ゆえに私たちは情報リテラシーを学び、一つの事象を多角的に捉える力を養います。そして市民意識変革運動の発信者としての責任を自覚する機会を提供します。また、様々なメディアによる広報を戦略的に実践することにより、多くのひとを巻き込むべく運動の価値をもりおかに拡げます。

未来構想特別委員会

盛岡青年会議所は現在に至るまでより良い組織であることを追い求めた諸先輩方によって連綿と受け継がれてきました。だからこそ、誰もが挑戦できる組織を次世代に引き継ぐべく組織改革に取り組みます。2020年度の未来戦略特別委員会で協議した内容をしっかりと引継ぎ、会員拡大の短中期的ビジョンの運用、検証を実施するとともにポストコロナでの組織運営のあるべき姿について検討し、組織運営マニュアルを策定します。

~出向者を支援する~

青年会議所は会員数15万人以上の世界で最も大きな青年団体であり、およそ130の国と地域が人的ネットワークでつながっている組織です。各地域にある様々な課題解決の手法をひとやまちから学び、盛岡青年会議所にもち帰ることは、個人の資質向上並びに組織の活性化につながります。出向者を支援し、出向者の得た経験を気づきとしてすべての会員にフィードバックし盛岡青年会議所の運動の価値を更に高めます。

「なせば成るなさねば成らぬ 何事も 成らぬは人のなさぬなりけり」

―上杉鷹山

己を信じ、仲間を信頼し、誇りをもって社会のために行動し続けよう。

自身の意識を変革させる一歩踏み出す勇気をもって。

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